MSの治療法について
MSにおける疼痛治療
神経因性疼痛とは
神経の損傷が脊髄か脳そのものにある場合、神経因性疼痛または中枢性疼痛が起こります。このような痛みは、皮膚の表面で起こっているように感じます。多くは灼熱痛、刺痛、圧痛といったものです。同じ人に違った感覚を起こすこともあります。健康な人では、脊髄はそのような刺激の伝導に対して阻害するフィルターの役目を果たしています。しかしMS(多発性硬化症)のように神経が障害を受けていると、この機能は正常な働きをしなくなります。

このことから、鎮痛剤が神経因性疼痛に対して有効でないことが分かります。この痛みは末梢と中枢の刺激伝達の質が変わることが影響します。

治療アプローチ
神経因性疼痛をコントロールするのは困難ですが、刺激の広がりを妨げるため塩酸アミトリプチリンなどの抗うつ薬を試すことができます。身体はセロトニンという物質を産生しますが、これが脳に増えると興奮や不快感を鎮める働きがあります。セロトニンは、抗うつ薬を服用していると分解が遅くなります。さらに、抗うつ薬の中には気分が改善されるような効能や鎮静作用もあるものがあります。
抗痙攣薬も、神経細胞膜安定化によって効果がある可能性があります。このような医薬品は三叉神経痛のような発作的な強い痛みに、カルバマゼピン、クロナゼパムなどが使用されています。
理想的な疼痛治療は、どのようにして見つけ出しますか?

上記にご説明した薬物の中で有効であるものを見つけ出し、最適な効果が得られるまで用量を徐々に増量しながら投与します。効果が確認できなければ、別の薬を試します。
このような経験は患者さんを失望させてしまうことがあります。またときには長期的な経過を必要とするものであり、常に成功するとは限りません。

患者さんに対して様々な医薬品の情報を詳細に伝えることはとても大切です。MS患者さんが医薬品の作用を知らない場合、なぜ抗うつ薬と抗てんかん薬が処方されるか不思議に思うでしょう。患者さんが服用している薬剤の必要性が理解できずにいると、お薬を自己判断で中止してしまうことがあるかもしれません。

神経因性疼痛の中には、他の疾患で発現する慢性的な疼痛状態と同様に、行動・心理療法などを試みると役立つことがあります。

痛みについて悩んでいるときは、誰を頼ればよいでしょうか?
まず、主治医に現状困っていることなどを話しましょう。主治医と相談して解決策が見つからない場合、他の神経内科医に相談したり(セカンドオピニオン)、ペインクリニックを受診することができます。