MSの診断
MRIとMS
MRI検査はMSを理解する上で、大変重要な手段です。MSの診断のみならず、MSの病態の解明や、MSに対する治療の効果を評価するのに役立ちます。


MS病態の解明
MSで行われるMRI検査には3種類の方法があります。いずれの検査もMS病変と正常組織の水分含量の違いに対して敏感に反応します。MRI検査で使用される電磁波を操作することで3種類の画像が得られ、それぞれ、T1強調画像、T2強調画像、プロトン密度強調画像と呼ばれています。それぞれの画像から患者さんのMSの性質について相補的な情報が得られます。
T1強調画像では脳に関して多くの解剖学的情報が得られます。この種類のスキャンは古い病変の識別に特に有用であり、異常な部分は暗い点として現れます。 T1強調像(ガドリニウム造影剤使用)(右)これはT1強調像をガドリニウム造影剤で増強したものであり、増強していない画像では確認できなかった病変が写し出されています。造影剤が蓄積した部分が明るい領域として現れています。これはMSの活動性病変です。非活動性病変は暗いままです。 「T1強調画像ではしばしばガドリニウム含有化合物などの造影剤が使用されます。造影剤は検査実施前に静脈に注入され、活動性の炎症領域を増強します。

T2強調像(左)このタイプの画像ではT1強調像のような解剖学的な詳細は分かりません。新しい病変も古い病変も写し出されるため、しばしばMSを診断するときに使用されます。 プロトン密度スキャン(右)このタイプのスキャンでは古い病変も新しい病変も識別することができ、明るい点として強調されます。体液の充満した脳室付近の病変の識別に特に役立ちます。

以上の異なる種類のスキャンを用い、MSの疾患過程に関する情報を得ることができます。 脳や脊髄内での病変は、その位置によって生じる症状が異なります。たとえば脊髄内の病変では、脳からの神経伝達が妨害されるため、手足のしびれが起こったり膀胱障害が起こったりします。視神経の病変では視神経炎を起こすことが多く、視神経の正常な機能が損なわれるため、かすみ目や色覚喪失をきたします。しかしながら、MSの特徴の1つとしてMRI検査で確認されても臨床的な症状を起こさない、沈黙の病変も数多く存在します。また、臨床的な症状があってもMRI検査では確認されない病巣も存在します。


MRIによる治療の影響の評価
MRI検査は非侵襲的な検査です。そのため定期的に繰り返し検査することができ、その人のMSの経過をみることができます。最近ではMSの標準的な診断の手段として広く用いられています。
参考文献
  • 参考テキスト 1. Fazekas et al.(標題未だ不明)Neurology 1999;53:1448-456.