よくある質問
友達や家族、職場に伝えますか?
MS(多発性硬化症)であることを周囲の人に伝えるかどうかは、個人的な問題です。MS患者さんは外見的に症状がはっきりしていないことが多く、MSであることを伝えるかどうかについて選択の自由があります。

日常生活で支援が必要であれば、身近な人にMSであることを知らせることになるでしょう。ご家族、友達、周囲の人たちにMSであることを伝えるかどうかは、それらの人たちとの人間関係によって異なります。

このページでは多くのMS患者さんの経験に基づく、一般的な指標をご紹介します。MSであることを周囲の人に伝えるかどうか検討している場合、下記の点を参考にしてください。
幼い子供に話すときには
非常に幼い子供にMS(多発性硬化症)について詳しく説明しても、おそらく正確に理解することはできないでしょう。子供の質問に対して、分かりやすく答えることが重要です。

子供は直感的に両親に何かが起こっていることや悩んでいることに気づいています。患者さんはこのことを知っておく必要があります。なぜなら子供の行動が不安からときに乱れることがあるからです。子供は現状が理解できず、過度に不安を持つことがあります。

多くのMSの患者会が子供用の小冊子を準備しており、子供に説明する際には役立つかもしれません。
比較的大きな子供に話すときには
比較的大きな子供や青年期にある子供には、事実を知らせる必要があります。しかしより慎重なアプローチが必要です。外見的には平静で、無関心にさえ見えることがありますが、ほとんどの子供はとても心配しています。このような不安には正確な情報が助けになります。子供との関係で何か問題が起こったときには、話し合うようにします。MSの患者会から得られる情報が、役立つかも知れません。

青年期の子供は大人として扱ってほしいと感じています。家族の問題では責任ある役割を与えられなければ、傷つくと同時にショックを感じることがあります。結果的に、破壊的な行動をとるかもしれません。しかし子供の協力を得ることができれば、驚くほど頼りになり、力の源となります。問題を知らせずにおこうとしても、子供が不安を感じないわけではありません。
両親に話すときには
診断を両親に告げることも難しい問題となります。親にとって子供の診断を受けいれることは、非常に難しいことです。両親の感情に配慮することがきわめて重要です。特に母親はきわめて保護的になり、多くの親は自分自身を責めるような感情を持つでしょう。
子供がMSである場合、両親が子供に話すときには

MS患者さんの両親は、MSについて何を話すべきか、どの程度の情報を伝えるべきかという非常に大きな問題に直面します。若いMS患者さんのほとんどが、発症初期の頃には大きな障害はありません。そのため大きな障害がない場合には、両親は子供の病状の経過について詳しく説明することに抵抗を感じます。大きな障害がないまま子供が成人し、学校を卒業し、仕事を開始し、人間関係を築くことができるよう望んでいます。

カウンセリングのアドバイスを受けるMS患者さんは、そのほとんどが成人です。MSという病気について、すぐに完全に明らかにするという考え方は、一般には疑問が残ります。
15歳未満の子供で特に障害がほとんどない場合、MSという病気の性質とその後の経過について伏せておくべきとする考え方があります。子供は、明らかに何かがおかしく、症状が現れては消え、医療処置を必要とするときがあるということに気づいています。-しかし子供が「正常な」生活を続けている間、親が子供にMSについて詳しく伝えるかどうかを考慮することができます。

青年の場合(15歳以上)、疾患の病状に関する説明や治療に関して親とともに決定に携わることができる年齢に達しています。しかしほとんどの青年は感情的に不安定でその自己像はもろく、MSが精神的な負担となっているということを念頭に置かなければなりません。

職場に話すときには

職場にMS(多発性硬化症)であることを伝えるときには、仕事に対して影響するかもしれません。更なるサポートが得られたり、また場合によっては、キャリアに不公平な影響を及ぼすことがあるかも知れません。

多発性硬化症団体国際連盟(IFMSS)は、職場側にMSの理解が不足しており、無知のために不適切な対応を受けることに懸念を抱いています。現状を正しく評価し、職場のガイドとなる資料を作るため、IFMSSでは「ともに働く」イニシアチブ(Working Together Initiative)を立ち上げています。その中で職場にMSであることを伝える利益と不利益を以下のように示されています。

MSであることを伝える利益とは
  • MSであることを伝えると、精神的な安心感が得られます。多くのMS患者さんは「隠しているのは話すよりもストレスが大きい」と感じています。職場にMSであることを伝えていると、現状について困難が生じた場合に、必要な職場のサポートについて話し合うことができるでしょう。
  • またMSであるという事実に他の人がどのように感じ、対応するのかを理解することができます。そのため周囲の人々に対して、より正直に応じることができるようになります。
  • 過去の就職先または照会によって、MSがあるという事実が偶然判明するという心配がなくなります。
  • 職場、保険会社や他の関連当事者がMSについて承知しているため、健康診断を受けることに問題がなくなります。
  • 職場にMSであることを話してしまえば、MSに関して職場の人々に説明することが簡単になります。また、将来の状態の変化について、あらかじめ職場と話し合うこともできるようになります。
MSであることを伝える不利益とは
  • MSであるため昇進、訓練などの拒否を受けるなど冷遇の恐れ
  • 同僚や他の人の反応についての恐れ
  • 仕事を失う恐れ、または仕事を見つけることができない恐れ(特に以前にそのようなことがあった場合)
  • 仕事に何か間違いがあった場合に障害のせいにされるという恐れ
MSであるということについて何を伝えるか?

周囲の人々に自分がMS(多発性硬化症)であることを伝える前に、何を知ってもらう必要があるのかについて考えなければなりません。ほとんどの人はMSについてほとんど知識をもっていないでしょう。まったく異なる病状を経験したMS患者さんを知っているかもしれません。人間関係には、関係の深い人と薄い人がいるでしょう。特にMS患者さんに眼に見える症状、障害がある場合には、親類、友達、職場の関係者などは自然に、病状について知りたいと思うでしょう。またMS患者さんを援助するために何ができるかを知りたいと思うかもしれません。親しい人や友達に対して正直になり、必要なときには援助を受け入れることを知らせておきましょう。その人達の心配は軽くなり、おそらくあなたの大きな支えとなることが分かります。
まずMSの簡単な説明(多発性硬化症とは何かのセクション参照)と現在の病状について話すとよいでしょう。必要と思われる実務的なサポートが理解され、病状が実際よりも悪いと判断されることがなくなります。いつも使う標準的な説明を考えていれば、自信を持って伝えるのに役立ちます。MSについて知識のない人は、MSに対して間違った知識(例:MS患者さんはみな最後に車椅子生活となる)や誤解(例:MSは伝染する)がある場合があり、きちんと説明する必要があります。MSの患者団体にはパンフレットと小冊子があり、このような説明に役立ちます。

テキストはwww.msif.orgの情報に基づきます。