よくある質問
MSが原因で疲れますか?
大したことをしていないときでも近頃ひどく疲れるようです。これはMS(多発性硬化症)と何か関係があるのでしょうか?
MSにおける疲労とは

疲労は多くの人が経験する感覚です。一般的な疲労には原因があります。たとえば激しい活動や睡眠不足によって起こる疲労などです。

神経系に障害がある場合では、患者はすぐに疲れてしまうと感じることがあります。そのためMS患者さんは、実際の活動よりも、ひどく疲れてしまうことがあります。
疲労はMS(多発性硬化症)の症状の中で最も多く、MS患者さんの大多数から報告されています。そのうちの40%もの患者さんが最悪の症状と述べています1。疲労は治療と症状の把握が最も困難な症状の1つです。

眼に見えないものであるため、特に家族、友人、職場などで理解されず誤解を招くことがあります2。そのため家族はMS患者さんが自分の役割を十分に果たしていないと感じることがあります。また夫婦間では性的問題が生じることがあり、職場では怠けているとレッテルを貼るかもしれません。疲労は日常の活動や職場環境に対して様々な影響をもたらします。

MSの疲労の原因は完全には解明されていません。4つのカテゴリーに分けることができます。


  • 正常な疲労
    MSに関係なく起こる疲労です。すべての疲労の原因がMSというわけではありません。
  • 神経筋疲労
    神経伝導の不足によって起こる疲労です。このような疲労の解決法は休息時間です。
  • 抑うつ
    MSにおける抑うつはよく認められ、睡眠の不足、食欲不振、情動の抑制をしばしば伴います。
  • 倦怠
    大きな理由もなく突然押し寄せる疲労です。薬物治療がしばしば有効であることがあります。倦怠は脳内の生化学的不均衡が原因と考えられています*3

これらの疲労は、毎日の生活に影響を与えます。さらにMS症状が悪化もしくは出現した場合には不安も生じます。このような症状の悪化は特に激しい活動の後や環境によって体温が上昇したときに起こります。疲労により疾患が悪化することはありません。

疲労は精神的、社会的要因によって増強するということがあります(個々の患者さんに適していない環境であることが、疲労の要因である可能性があります)。

MSに関連する疲労への対策
MS患者さんにとって疲労が大きな問題となったとき、疲労の原因を正確に判断する必要があります。

中枢神経系疾患(MSなど)が疲労の唯一の原因である場合、生活習慣、環境、職業などを調整します。疲労を避けるために、家族内や職場で役割を変更したり、優先順位を変えたりする必要があるかもしれません。疲労をコントロールできる対策としては、時間管理、ペースの配分、体力温存、仕事の簡略化、リラクゼーション、休憩などがあります。
実用的なヒント

一般的なMS(多発性硬化症)の疲労には、有効な医薬品はほとんどありません。抑うつによって起こる疲労の管理には抗うつ薬とカウンセリングがあります。

ストレスを管理することやカウンセリングを受けることは、疲労のコントロールにおいて無視できないものです。精神的、社会的要因は、患者さんがMSとうまく付き合う能力に重要な影響を与えます。また患者さんの日常生活を妨げる要因であるばかりでなく疲労の原因にもなりえます。

MSに関連する疲労の対処については、MSのこのような症状について、家族と友人と同時に、医療従事者や職場の人々を教育することも重要です。疲労は周囲の人々に理解され、配慮されれば管理することができます。

参考文献
  • Sheean GL, Murray NM et al. An open-labelled clinical and electrophysiological study of 3,4 diaminopyridine in the treatment of fatigue in multiple sclerosis. Brain 1998;121(5):967-975.
  • Brañas P, Jordan R et al. Treatments for fatigue in multiple sclerosis: a rapid and systematic review. Health Technology Assessment 2000;4(27):1-61.
  • Schwid SR, Covington M et al. Fatigue in multiple sclerosis: Current understanding and future directions. Journal of Rehabilitation Research and Development 2002;39(2):211-224.


テキストは www.msif.org の情報に基づきます。